「やりたいことをやり続けたい」小泉紗奈が就活せずに歩む道(後編)




僕たちはいつか「就活」をして「就職」をして真っ当に「働く」

今までなんの疑問も持たずそう考えていました。

 

しかし、少し辺りを見渡すと「就活」せずに自分の道を歩いている人がちらほらといることに気が付きました。

「おいおいそんな生き方あったのかよ」と。

そう思った僕は、彼・彼女らに話を聞いてみることにしました。

 

「就活」せずに自分の道を歩きはじめた人たちの物語…


今回話を伺ったのは、愛媛大学生の小泉紗奈さん

昭和20年に愛媛県で創業された「小泉製菓」という大判焼き屋さんの娘さんで、ダンスや着物のモデル活動、ライターなど幅広く活動されています。

現在「小泉製菓」の経営にも参加しているという小泉さんですが、大学入学時にはお店を手伝うつもりはなかったそう。

跡取り娘になるという選択、またその多様な活動。

<前編>では大学入学前までの小泉さんの活動を、<中編>では愛大を選んだワケや、大学入学後の活動について聞きました。

彼女の「就活」せずに歩く道をきいてみたいと思います。




小泉製菓になぜ関わり始めたのか?

左が小泉さん、右がタカハシです

タカハシ

いつくらいから小泉製菓に関わり始めたん?


小泉

学祭からフェードアウトすると同時にくらいですかね。


タカハシ

なんで手伝い始めたの?


小泉

そもそも実家は手伝いたくないと思ってたんですよね。


タカハシ

だって、「外に出たかった」って言いよったもんな。


小泉

そうなんです。それまでは、衣装のスタイリストとかの服飾関係か、イベント会社とかにも興味があって。

何年か勤めて自分で独立してやれたらな、と漠然と考えてたんですけど。


タカハシ

けど?


小泉

何をするにも実家の存在があって、そこを置いて、自分がなんとなくやりたいことをやるのは、なんだか逃げているような感覚があったですよね。

“なんだか逃げているよう”という感覚は、味わったことがないなぁ。

小泉製菓のことでも、祖父や母がやっていることでも「自分だったらこうするのにな」っていうことも色々あって。


タカハシ

自分の関わり方も見えてきとったんや。


小泉

ふわっとなんかやりたいことをやるよりも、今問題だと思っていることが目の前にあって、それを解決してからじゃないとやりたいことを楽しめないと思って。

それでも、実家のことに関わると自分のやりたいことをできんくなるんじゃないかっていうのもあって。


タカハシ

葛藤ですな。

今まで味わったことのないジャンルの葛藤を自分ごとで考えたら、ムズ!と思っている様子

小泉

そうなんですよ。それで、いろんな人に相談して、「紗奈ちゃんなら実家でも色々やれるんじゃない?」とか、親にも「紗奈が一緒にやってくれたら嬉しい」っていう言葉をもらったりして。

時間がかかるかもしれないし、自分のやりたいことがやれんくなるかもしれないけど、とりあえずやってみようと思って。

「とりあえずやってみよう」って、素敵やなぁ。

タカハシ

すごい素敵やなぁ。

お姉ちゃんがおるんよね?


小泉

6つ上ですね。もう外で働いてます。


タカハシ

やけん、もし紗奈ちゃんが継がんかったら


小泉

親の代で終わるのかもしれないですね

でも、だから継ごうとかは考えなかったです。

勘違いしないで欲しいのは、私の決断は“小泉製菓のため”でも“家族のため”でもなく、自分で考えた、自分のための決断ってことです

タカハシ

実際に小泉製菓のお手伝いを始めてどうだった?


小泉

昔から続いている会社なので、新しいことをあんまりしてなくて。

その中で私がすぐにできるなと思ったのは、広報のことで。チラシを綺麗なものを作ったり、WebサイトやSNS周りをきちんとやることとか、そういうことを最初にしました。


タカハシ

おぉ~従業員の人はどんな反応だった?


小泉

今までそういう新しいことを言う人がおらんかったので、歓迎してくれて「若い子が来てくれたらいいねぇ」っていう感じで良かったですね。

私のことを対等に見てくれている感じがして、それはありがたかったですね。



大学卒業後のこと

タカハシ

今後はどんな感じで考えとるん?


小泉

ん~今は、今していることを続けないと今後が見えないなっていうことを感じていて、当たり前なんですけど。

今、学生をしながら、モデルやダンスで表現者としての活動をしていたり、小泉製菓で仕事をさせてもらったりしてるわけじゃないですか。


タカハシ

そうやな。


小泉

それなのに、
「学生が終わったら、今までの活動も全部リセットでまた新しく就職して始めましょう

っていう方が違和感があるんですよね。現実的ではないというか

小泉紗奈の中の“学生”っていうタグが外れるだけですから…

タカハシ

なるほど。今の活動を大学を卒業しても続けるっていうのが自分の中では自然なんや。


小泉

自然ですね。


タカハシ

今の活動の仕方が自分に結構ハマっとんやな。


小泉

そうですね。小泉製菓でも、経営の話を一緒にしたり、税理士さんとの話にも一緒に加えてもらったり、そういうことの中で私が手伝えることをさせてもらう。

親の横で勉強もさせてもらいながら、親が苦手な部分を2番手としてやらせてもらう。その中で自分の表現者としての活動もさせてもらう。

インタビューの場所にはいい感じの観葉植物が

逆に就職をして、自分の動きができなくなるかもしれないじゃないですか?そうしたら自分が死んでいっちゃうんじゃないかなって。


タカハシ

自分、殺したくないんや。


小泉

殺したくないですね。

私、中学の時も高校の時も先生に言われた進路指導に全く従わなかったんですよ。


タカハシ

ありゃりゃ~

進路指導って大変ですよね。先生ご苦労様です。

小泉

そうやって今まで組織のいうことをそのまま自分の道にしたことがないから、今更大学にきてその先の慣習になってる道に従うのも

当然自分なりにやりたいことを工夫しながら自分の人生を送っている人はすごく尊敬できるんですけど、慣習になっているものを「例年がこれだから」って突きつけられるのがすごく嫌なんですよね。


タカハシ

なるほど。

小泉紗奈の世界観

タカハシ

小泉さんは、モデルやダンサーとして自分の表現をしていると思うんやけど、小泉紗奈の世界観ってどんなものなん?


小泉

私って変わらないものがすごい好きで、新しいものはあんまり好きじゃないんですよね。

それとか、昔からあるラーメン屋さんとか居酒屋とかってなんとなく安心感を与えるじゃないですか?

変わらぬ味の小泉製菓の大判焼きマジうまなので、ぜひ食べてみてください(webサイト

タカハシ

確かに、分かる気がする。


小泉

すごい普通やし、古めかしいし、でもそういう存在というか世界観がすごい好きで。


タカハシ

安心感か。


小泉

そういうものがすごい好きなんですよね。

例えば、昭和歌謡って、歌詞もメロディもすごく簡単なのに、平成が終わろうとしている今も流れるくらい続いているじゃないですか?


タカハシ

確かに、口ずさんでしまうわ。


小泉

そうなんですよ。人って簡単でシンプルなものに立ち返るんだなってそこから感じていて。

着物も、行事ごとで着たり、みんな洋服を着るようになった現代においても無くなってないじゃないですか?

松山デザインウィークでの着物のパフォーマンス


タカハシ

確かに、なんかポジティブなイメージがあるもん。


小泉

なんかそうやって時代の流れに沿って、自分達の近くからは無くなっていくのかもしれないけど、結局立ち返るもの、アイデンティティを感じさせられるものが、すごい好きなんですよね。

それは、自分がダンスとかモデルをする時も、小泉製菓で仕事をする時も、忘れないようにしていますね。


タカハシ

より遠くに目指すものとかある?


小泉

ん~ずっと先を見据えた具体的なものはないんですけど、

自分にも人にも嘘をつきたくないし、何があっても自信を持ってこうだからって言えるものだけを世の中に送り出したいんですよ。

それを「でも現実こうやん?」って諦めたりせず、愚直に続けていければいいかなと思いますね。


彼女の「就活せずに歩く道」は、あなたの目にはどんな風に映ったでしょうか?

「自分のやりたいことをやりたいんです」

なんて社会に出れば、甘い、のかもしれないが、その言葉の難しさにも向き合って、自分なりの方法で実現しようとしている彼女の姿からは、とても勇気をもらえる。

 

彼女はインタビュー中何度も、

「私は私をただ純粋に“小泉紗奈”としてみてもらいたい」

と言っていた。大学生として活動する中で、「学生なのにすごいね」と色んなところで言われるからだろう。

きっとこれからも、僕らも彼女も何かのタグ(肩書き)を伴って見られ、評価されるのだろう。

それは仕方のないことだ、職業・年齢・収入、日頃から沢山のタグ付きで僕らは人のことをみて・みられているのだ。

 

けれど、彼女には「やりたいことをやり続けて、小泉紗奈であり続けて欲しい」と切に願う。そしてまた、数年後社会に出て、活躍している彼女のことをインタビューできれば素敵だなぁと思う。

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Text by 高橋大希(Twitter Instagram  Youtube
Photo by 鈴木ひかり(Instagram
場所の提供:マツヤマンスペース(サイト Facebook


小泉紗奈
・Instagram(@sana_pippi
・ブログ(私の/脳みそ/と/腹ん中

こいずみ